Re: スマホUI考(番外編) UIやUXを劇的に改善する、『ビッグオー駆動型開発』とは
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深津くんのこの記事では『ビッグオー駆動型開発』と名付けてますが、ちょー簡単にいえば、「どうしようか迷ったらオカンに聞け」という提言です。これは、概ね正しくもあるのですが、このような提言の仕方はリスクを伴う部分があるので、いちおう、早めにその旨を声明しておかねばという衝動に駆られました。ので、このエントリーに至っています。
で、この『ビッグオー駆動型開発』に関しては、ビミョーに懸念があったので、一応、反論というか、補足というか、まあなんというかそういうことをしておこう。ビッグオー駆動型開発自体の詳細は深津くんの記事にあるので繰り返す必要はないという前提で、欠点を挙げる。
そもそも当開発者たるエンジニアやデザイナーにおけるリテラシーの問題。彼らが、高齢者や低リテラシ者が、具体的にどういう状況・状態・ポジションにいるのか?ということを知っていなければならない。知らずに取り組んでもろくなことにならない。重要なのは、そうした人々のことがどんな感じであるかを知識として知っている、そのうえで、自分たちのコンセプトに基づくデザインとして昇華できているか?ということだ。
そうしたベースの知識をどこで得るか?となると、WCAG 2.0いや1.0から読んでて変遷を知っているべきだとも思うし、ユーザビリティ原論とか知ってますか的な部分もある。ようするに、いろいろ先に知っている話があったうえで、そういうこと鑑みてのデザイン俺作れますよって域で、はじめてオカン使えよって言いたい。オカンいい迷惑だろ(いや子供から接してもらえて嬉しいとかあるかもだけど、本質と違うから)。
ということで、読んでおくべき何かはこの辺だって、列挙したかったんだけど、はてなブログ的に面倒くさいので、今はやめとく。あとで編集するかもだけど今はしない。とりあえず当たり前の大前提として、WCAG2.0とその周辺は読んでいることは前提としたい。
とゆことで、その辺は全部わかってるよってうえで、どのレベルまで担保するかとか方針を決めて、じゃあデザインどうするよって話になっていて頂きたい。この按配は、アプリでも、同じなんで(仕様書側は世界の進化に追い付いてないだけ。でも当事者たる人間は変わらず生活しているんでね)。
そのうえで(いや、そうじゃなくても)、とりあえず懸念としていえることは、
- 高齢者や低リテラシ者がどんなんなのかという一般知識がないままに、オカン駆動すると、オカンの言うなりになるリスクがある。
- オカンにダブルクリックを教える図が素晴らしい的な内容で出回った話はあるものの、これ、当のオカンには良かったのかもしれないけど、根本的にいうと、高齢者はダブルクリックよりもシングルクリックのほうが難しい。頭で理解するよりも上肢を訓練しなければ解決できない的な状況である。
- それと、そもそも彼らは根本的にネット経由の情報と繋がることを求めているのか?ということも加味する必要がある。住んでいる地域にもよるだろう。これはローカライズとして解決すべき問題であり、UIデザインで担うことではない(UXはローカライズも扱うが、UIレイヤーで担うことではない)。
といった部分が、ざっと見たレベルでいえる。特に、深津くんの記事から、あーそうなのかーへー、って実践しようとしている人に言いたいのだ。そんな簡単な話ではない、ということを。
じゃあやらんでいいのか、ではなく、やるべきなのだが、「見聞きすることはケースの新たな材料であり、ケーススタディをしろ」ということを言いたい感じなのです。深津くんも根本的にはそういうこと言ってんじゃないかなーって思う。だいたい、オカン言うこと別に正しくないでしょっていうか。ある側面では正しいんだけど、それを絶対正しいって置くのはデザインとしては違うでしょっていうこと。オカンは、“1”ペルソナだけど、そもそもペルソナって、それに準ずるための手法じゃないのでねっていうか。
オカンをターゲットユーザにするのはいいけど、そもそもペルソナってそれじゃないしなあと思いつつも、まあ、とりあえず懸念は述べましたので、あとは好きにやってください。オカン使うこと自体は、コスト観点的にも全然オッケーなので(ユーザーテストってそもそも身近な人でやれ的な部分もあるしね)。
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とか書いたうえで、これ書く前にツイッターに書いたやつのほうがすっきりしててわかりやすい気がするので、リンクしておきます。さくっと言いたいの、こんな感じでした。
ビッグオー駆動型開発に対する意見 - Togetterまとめ
(てか、Togetter自体をどうにかしたい……。どうしてこうなった……)